pharmacist's record

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突発性発疹(小児疾患シリーズ)

コモンな小児疾患を復習をかねて簡単にまとめていきたいと思います。

 

突発性発疹

生後4ヶ月〜24ヶ月の間(6~12ヶ月に多い)に罹患するヒトヘルペスウイルス感染症(HHV-6,HHV-7の2種のウイルスがあるため、まれに2度発症することもある)。感染症発生動向調査によると、報告症例の年齢は0歳~1歳で99%を占める。
 
潜伏期間は10日程度。感染経路は飛沫感染・接触感染・経口感染。
発熱中は感染力はあるが、感染力の強い感染症ではなく、通常、施設内流行はない。
 
〈症状〉
38〜40℃の高熱が3〜4日続き、熱が下がると同時に、体幹を中心に顔面や四肢に淡紅色〜鮮紅色の発疹が出る。発疹は2~3日で消える。
発疹の性状は、細かい赤い発疹で少し盛り上がっているのが特徴。
随伴症状として、軟便、高熱時の熱性痙攣を起こすことあり。咳や鼻水は少ない。
発熱より、1〜2日後、つまり発疹出現前に永山斑がみられることあり。感度・特異度はあまり高くないので診断の確定には不十分だが診断の助けになる。
 
※永山斑
口蓋垂の根元の両側に、粟粒大の隆起ができる。
 
高熱のわりには元気で機嫌が良いことが多く、比較的ミルクの飲みも良いのが特徴。
 
〈治療〉
一般的に予後良好の疾患のため、基本は経過観察。
高熱時の脱水対策として、水分補給を行う。必要に応じて解熱薬アセトアミノフェンを投与。
熱性痙攣を起こした場合は、ダイアップ坐剤を使用することも。
 
〈入浴〉
高熱時は体力を消耗しているので、より体力を消耗させる入浴は避けるのが一般的。解熱後は発疹が出ていても、嫌がらなければ入浴可(発疹時期は機嫌が悪いことも多く、無理して入浴しなくてもよい)。
 
〈登園の目安〉
解熱後1日以上経過し、機嫌が良く全身状態が良いこと
 
 
 突発性発疹は、生まれて初めての発熱となることが多く、保護者は心配になるかと思います。熱が高い間は、突発性発疹だと断定できず、解熱と同時に発疹が出て、突発性発疹だとわかるケースが多いのではないでしょうか。
 
 
参考文献
2012年改訂版 厚生労働省
保育所における感染症対策ガイドライン