日経メディカルの調査で一番人気のPPIはランソプラゾールだったようです。
簡単にまとめますと、
タケプロン:OD錠、NSAIDs・低用量アスピリン潰瘍再発抑制の適応あり、低用量アスピリンとの合剤あり(タケルダ)、簡易懸濁法可(お湯で懸濁させると、添加物のマグコロール6000が固まってしまう(56~61℃で凝固)ので水で懸濁)、CYP2C19、CYP3A4で代謝、不均一なため半割は不可
ネキシウム:NSAIDs・低用量アスピリン潰瘍再発抑制の適応あり、オメプラゾールの一方の光学異性体(S体)、CYP2C19の寄与率はオメプラゾールよりも小さい、脱カプセル、簡易懸濁、経管投与での使用はメーカーは非推奨(IFに経鼻胃管の場合、脱カプして水と混ぜて投与する方法が記載されているが、カプセル内の腸溶性顆粒が溶出・崩壊したら不可とのこと)
オメプラール:CYP2C19、CYP3A4で代謝(遺伝的多型の多いCYP2C19への依存の度合いはタケプロンより強い)、腸溶錠のため半割・粉砕・簡易懸濁法は不可、潰瘍再発抑制の適応なし
パリエット:逆流性食道炎に限り効果不十分の場合1日2回投与が可能、CYP2C19での代謝はわずかで大部分が非酵素的に代謝されるので薬物代謝酵素の遺伝的多型による影響を受けにくい、腸溶錠のため半割・粉砕・簡易懸濁法は不可、新たに低用量アスピリン潰瘍再発抑制取得にて5mg錠が追加(NSAIDs潰瘍は適応なし)
適応の違いについてはかなり混乱を極めており、その都度、きちんと添付文書を確認することをおすすめします。
PPIといえば水様便の副作用が知られています。
〈collagenous colitis〉
日本語では膠原繊維性大腸炎などと訳されていますが、コラージェナス・コライティスと読むのでしょうか?
collagenous colitisとは慢性に持続する頻回の水様性下痢を主訴とし、大腸の生検にて膠原線維帯の肥厚(コラーゲン・バンド)が認められる原因不明の腸疾患。下血は伴わないことが多く、時に腹痛、体重減少、低タンパク血症がみられる。
中高年の女性に多く(男:女=1:5~8)、原因薬剤としてランソプラゾール、NSAIDs、アカルボース、アスピリン、ラニチジン、チクロピジン、カルバマゼピンなどで報告が上がっている。
治療としては、薬剤が原因の場合、投与中止により下痢は1~2週間で治まるとされている。
比較的報告が多い印象のあるランソプラゾールに関しては添付文書の副作用の項目に、水様便が持続する場合は、collagenous colitisの可能性があるので投与中止と記載があります。ラベプラゾールに限っては添付文書に記載がなく、報告が現時点ではないようですが、PPI長期投与における慢性下痢には注意が必要かと思います。