pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

川崎病でアスピリン服用中にインフルエンザにかかったら?

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(患者さん向け注意書き):血栓リスクの程度によっては、上記と異なる指示が出される可能性もあるため、個別の対応については主治医の指示に従ってください


さあさあ、この臨床疑問、以前SNSで話題になったような記憶があります(うろ覚え)。
アスピリン中止による血栓リスクか、インフルエンザにアスピリンを投与することのライ症候群のリスクか…、
どうすればいいんだァァ!?
と議論になったような…。

当時はガイドラインを見ても、この問題に言及されておらず、海外の文献などをいろいろ調べた覚えがあります。

www.j-circ.or.jp
つい先日、日本循環器学会と日本心臓血管外科学会より川崎病ガイドラインが更新されました。
私はソッコーで、「インフルエンザ」とワード検索し、アスピリンの投与可否について記載されていないかどうか調べたところ、この悩ましい問題についての載っていました!

「Reye 症候群との関連性が示唆されているため、水痘・インフルエンザに罹患した際は中断する方が望ましい。アスピリン中止後も、シクロオキゲシナーゼ-1 の阻害は細胞寿命(8 ~ 10 日)の間は持続し、新たに産生された血小板が大勢を占めるまで薬効は数日以上続くことから、通常は他の抗血小板薬に変更する必要はないと考えられる。」
川崎病心臓血管後遺症の診断と治療に関するガイドライン2020年版

絶対にこうしなさいという書き方ではなく、「望ましい」という書き方でした。
悩ましい事例に関して、学会として道筋を示してくれるのはありがたいですね。
学会の先生方、ありがとうございます!

私は循環器の専門ではないので詳しいことはわかりませんが、血栓リスクは人それぞれのようですね。
場合によっては、上記の推奨内容とは異なる対応がとられることもあるかもしれません(くわしくはわかりませんが…涙)。

もし、患者さんがこのブログをお読みになった場合は、
「もしインフルエンザにかかった場合は、アスピリンの服用はどうすればいいですか?」
と主治医にあらかじめ確認
しておくことをおすすめします。

ちなみに、水ぼうそうについても同様です。水ぼうそう(水痘)もインフルエンザと同様にアスピリンの投与はライ症候群との関連が示唆されており、ガイドラインで中断することが望ましいと記載されています。

詳細はぜひ最新版2020年のガイドラインをご確認ください。