pharmacist's record

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吸入ステロイドICSとうがい

Absence of gargling affects topical adverse symptoms caused by inhaled corticosteroids in females. - PubMed - NCBI
J Asthma. 2014 Mar;51(2):221-4.PMID:24147582
Objective
ICSによる局所の有害事象は女性の方がよりコモンだと疑われている。
(へぇ~、そうなんですかぁ)

ICSの有害事象の防止として、吸入後のうがいや口の洗浄(gargling or mouth washing)がゴールドスタンダードとして推奨されているが、その予防効果はリアルワールドにおいて確認されていない。
(ふむ、まあそうなのかな)


日本製薬協会の薬剤イベントモニタリング(DEM)プロジェクトのデータを分析
(へえ~、そんなプロジェクトが…)

P:吸入ステロイド使用患者412 males and 480 females
 DPI 71.2%, pMDI with (7.5%) or without (16.6%) a spacer or inhalation solution (4.7%)
E:gargling or mouth washing
C:なし
O:Topical adverse symptoms(hoarseness嗄声, stomatitis口内炎,dry mouth口渇)

Topical adverse symptoms occurring after previous prescriptions were reported by 41 (4.6%) subjects

嗄声1.3%、口内炎1.1%、口渇1.1%

吸入後のgargling or mouth washingを行わないと、局所有害事象のリスク上昇
adjusted odds ratio (OR): 3.75(95%CI 1.33-10.59, p = 0.012)
女性:(OR: 4.32, 95%CI: 1.11-16.87, p = 0.035)
男性:(OR: 3.26, 95%CI: 0.65-16.33, p = 0.151).

バイスごとの、吸入後”うがい無し/口をすすがない”と局所有害事象の関連
DPI (OR: 4.85, 95%CI: 1.66-14.14, p = 0.004), but not in those using the other devices
other devices:有意な関連はない。

ええ~~、ほんとですかぁ??
他のデバイスは症例数不足だっただけでは?って気もしますね。
ほとんどがDPIですから。

フルテキスト読んでみたいところですが、このようにうがいの重要性を定量的なデータとして算出するのは大事でしょうね。
RCTってわけじゃないですけど…。

吸入デバイスについては、
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 Vol. 25 (2015) No. 3 p. 337-344
このあたりも勉強になりますね。
だって、日本語だし!!!!!

その根拠はあきらかではないですが、
・吸入直後にうがい。ガラガラうがいとプクプクうがいを5秒ずつ。最低2回以上くりかえす。これで口腔や喉に残存する薬剤は除去できる
・吸入前に水を飲むなどして、口の中を湿らせるとうがいの薬剤除去率が高まる(そうなの!?)
・食前に吸入するのもアリ。食事で除去できるから
・吸入速度がはやすぎると声枯れがおきやすくなる
嗄声は、ディスカス > タービュヘイラー > エアロゾル

患者さんへの指導の参考になりそうです。



酒を片手に、さきほど更新した記事に書いたBeckのDreamsをバックに踊りながら、このICSとうがいの記事を書きましたので、かなり酔っ払ってきてもう限界なのでこのあたりにしておきます。
誤字脱字あるかもなので、原著をご参照くださいね!