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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

ラメルテオンで血糖コントロールが改善する?

話題にのっかってみました。
タイトルで「そっちかい!」と思われたかもしれませんが、あえてのラメルテオンです。

スボレキサントはマウスの研究しか見つからないですし…
Timed Inhibition of Orexin System by Suvorexant Improved Sleep and Glucose Metabolism in Type 2 Diabetic db/db Mice. - PubMed - NCBI
10~50mg/kgのスボレキサントをマウスに投与したみたいですね。
(ちなみにヒトでの用法用量は、1日1回20mgです。高齢者は15mg。)
睡眠時間を増やすと肝臓での糖代謝が改善とのことです

基礎研究の論文はほとんど読んだことがないのでよくわかりませんが、マウスで結果が得られたから、ヒトでも同じようになるとは限らないと思います。

もし某番組のように、スボレキサントで、血糖コントロールが改善すると主張したいなら、血糖コントロールをアウトカムにして、RCTをやってみればいいのでは?と思います。

まあ、血糖コントロールが改善されたからといって心血管イベントが減るとは限らないという点も忘れてはいけませんが…。


さて、ラメルテオンです。
The Effects of Ramelteon on Glucose Metabolism and Sleep Quality in Type 2 Diabetic Patients With Insomnia: A Pilot Prospective Randomized Controll... - PubMed - NCBI
J Clin Med Res. 2016 Dec;8(12):878-887.

研究デザイン:multicenter, prospective, randomized, and observational pilot study

P:Type 2 diabetic patients with untreated chronic insomnia
→全患者にramelteon 8mgを3ヶ月投与[第1期]
→下記2群にランダム化
E:ラメルテオン継続 3ヶ月
C:ラメルテオン中断 3ヶ月 [第2期]
O:change in glycated hemoglobin (HbA1c) level

盲検化はされていませんね。
プライマリは明確に規定されてます。

<除外基準>
HbA1c ≥ 8.0%
3ヶ月以内にHbA1c0.5%以上の変化
肝不全
うつ病治療中
20歳未満
眠剤の服用歴
シフトワーカー
睡眠時無呼吸症候群の治療


前例のない研究のためサンプルサイズ算出できず。
不眠症の糖尿病患者のほとんどはすでに眠剤を服用しており、目標のサンプルサイズは50名を予定。


42名登録
→第1期完遂が32名
→第2期完遂が31名

<患者背景>
平均年齢68歳
糖尿病歴9.8年
HbA1c:6.7% ± 0.4

<結果>
まず、
第1期(全員ラメルテオン投与 3ヶ月)
HbA1c:6.7%(±0.4)→6.7%(±0.5)
PSQI(0-18):8.1(±4.1)→7.2(±2.8)

第2期
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5087628/table/T3/

継続群
HbA1c:6.8(±0.6)→6.8(±0.5)
PSQI(0-18):7.5(±3.4)→7.2(±4.0)

中止群
HbA1c:6.7(±0.5)→6.9(±0.6)
PSQI(0-18):7.2(±2.3)→6.5(±3.2)


ほとんど差はみられないですね。
中止後のわずかな上昇…。
パッと見の印象はどうでしょう?患者さんの立場になって考えて見ましょう。ラメルテオンを飲みたいって思いますかね…?自分だったらあまり気が進まないかなぁ。
代用のアウトカムのほんのわずかな差ですし…(といってもラメルテオン服用開始後3ヶ月でHbA1cの変化はなく、中止群においてわずかに上昇しただけ)

散歩したり間食を控えたりしたほうがよほど効果的なのではないかという気がします(もちろん食事療法・運動療法は大変なんだぞ!ていうのはよくわかります。自分だったらすぐに怠けてしまうでしょう。大変ですよね。摂生するのは…)

この研究は平均で7%未満ってことで比較的コントロールできている患者さんたちなので、もうちょっとコントロール不良の患者さんも含めたほうが良かったのではないかという印象です。すでに眠剤を服用している人が多かったみたいで、あまり症例数が集まらなかったようですし、その点は残念でしたね。


ちなみにこちらはプラセボを用いたメラトニンのクロスオーバー試験
Efficacy and safety of prolonged-release melatonin in insomnia patients with diabetes: a randomized, double-blind, crossover study. - PubMed - NCBI
Diabetes Metab Syndr Obes. 2011;4:307-13
こちらのほうが血糖コントロール不良の患者層ですね。
うーん、HbA1c改善するのでしょうか…

そもそも私自身が眠くなってきて、頭が回らなくなってきました。もう考えられません。
ああ、そろそろ5時。もう朝になってしまいます!ああ、寝不足により私の糖代謝が崩れてしまう~~!(←そんなことより焼肉ばかり食べるのをやめなさい!と私に対する説教がどこからともなく聞こえてまいりました。もちろん寝不足も良くないですが汗)

さて、どうでしょう。睡眠と血糖値。
おもしろいテーマではありますし、もっと研究を進めてみて欲しいなぁとは思いますが、現段階で、この手の薬を糖尿病患者さんにすすめるような内容を放送するのはちょっと意味がわかりませんね。ラメルテオンなら比較的安全性高いといえるかもしれませんが、スボレキサントはいろいろありますしね。

ph-minimal.hatenablog.com

上記のスボレキサントの過去記事を見ていただければ、不眠症でもないのにわざわざ服用するような薬でないということがわかるのではないかと。
10人に投与すれば1人になんらかの副作用が出るという計算です。
100人に投与すれば1人は異常な夢を見るそうです。まあ、私は薬を飲まなくても仕事にまつわる悪夢をよく見ますが。。。
悪夢を見るのは嫌ですけど、いいかげん寝ることにします。明日は寝坊しないよう目覚まし10個かけます。明日、起きれるかなぁ。。