pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

DPP4阻害薬過量服用にて自殺を試みた症例

DPP4iの過剰服用により自殺を試みた症例

Suicide attempt by an overdose of sitagliptin, an oral hypoglycemic agent: a case report and a review of the literature. - PubMed - NCBI
Endocr J. 2012;59(4):329-33. Epub 2012 Jan 21.
日本のケースレポート

86歳女性
既往歴:T2DM、うつ病
シタグリプチン50mgでHbA1c7.9%で安定

シタグリプチン1700mg(上限の17倍)を摂取4時間後にERに搬送



むむむ、34錠服用したということでしょうか!約1か月分!?
危ない!て、感じがしますね。DPP4iは低血糖リスクが少ないとはいえ糖尿病薬ですからね。上限量の17倍ですからね。

どうなったかというと、病院到着時すぐに低血糖予防としてブドウ糖を点滴しているとはいえ、低血糖発作をおこすことなく無事だったようです。

無事でなによりですが、メトホルミンじゃなくて良かったですね。
メトホルミンは死亡例もあります
Experiences of a poison center with metformin-associated lactic acidosis. - PubMed - NCBI
Fatal metformin overdose presenting with progressive hyperglycemia. - PubMed - NCBI

インスリンやSU剤だと低血糖が怖いですし…。

このたった一例だけでDPP4iは飲みすぎても安全~!とは言い切れないかもしれませんが、迅速に適切な処置を行えば命を落とすことはなさそうだな、という感じでしょうか。

DPP4iは動脈硬化を予防する? - pharmacist's record
DPP4iは心血管イベントを防止する効果は微妙な感じだったりするのですが、自殺リスクが高い精神疾患を抱えている患者さんがT2DMを併発し、薬物療法が必要となった場合、DPP4iは候補にあがるのかなって感じです。
過去にオーバードーズの経験があるような患者さんにメトホルミンやインスリンを処方するのは得られるメリットよりリスクのほうが上回るかもしれませんよね。忍容性が高いという点についてはDPP4iは優れていると思います。

SGLT2阻害薬はどうでしょうね。
パッと見、そのようなケースレポートは見当たりませんでしたが、脱水やケトアシドーシスの懸念ありといったところでしょうか。


適正使用についての情報を仕入れるのは薬剤師としてあたりまえですが、過量投与してしまった場合にどうなるか?ということを勉強しておくことも大事だなと思いました。