pharmacist's record

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ピオグリタゾンはNASHに有効?肝臓がんは??

なんだかんだでピオグリタゾンの研究発表が絶えないなぁと思う今日この頃。

Long-Term Pioglitazone Treatment for Patients With Nonalcoholic Steatohepatitis and Prediabetes or Type 2 Diabetes Mellitus: A Randomized Trial. - PubMed - NCBI
Ann Intern Med. 2016 Sep 6;165(5):305-15.

研究デザイン:Randomized, double-blind, placebo-controlled trial(36ヶ月中、最初の18ヶ月が盲検化。その後はオープンラベル)
P:prediabetes or T2DM and biopsy-proven NASH
E:ピオグリタゾンpioglitazone, 45 mg/d,
C:プラセボ
O:a reduction of at least 2 points in the nonalcoholic fatty liver disease activity score in 2 histologic categories without worsening of fibrosis
試験期間:36ヶ月(プラセボは18ヶ月で終了)


<結果>
プライマリアウトカム達成率
ピオグリタゾン:58%(プラセボとの差 41 percentage points [95% CI, 23 to 59 percentage points])

NASH寛解(resolution of NASH)
ピオグリタゾン:51%(プラセボとの差 32 percentage points [CI, 13 to 51 percentage points])

体重増加weight gain
+2.5 kg(ピオグリタゾン>プラセボ


アウトカムは病理診断スコアなので、代用のアウトカムということになりますが、NAFLD activityスコアは8点満点。
プライマリアウトカムの2点の差はそれなりのインパクトでしょうか。
ただし、体重は+2.5kg。これはプラセボと比較して+2.5kgということだそうですが、ピオグリタゾン群におけるベースラインとの比較ではどうだったんでしょうね。
全員低カロリーの食事を指示(体重維持マイナス500lcal)されていますが、ベースラインより増えていたんですかね!?
weight gainと記載されているからベースラインより増えたのかなぁ…、低カロリーの食事なのに…。


こちらはNEJM
A placebo-controlled trial of pioglitazone in subjects with nonalcoholic steatohepatitis. - PubMed - NCBI
N Engl J Med. 2006 Nov 30;355(22):2297-307.


メタアナリシスも(といっても3RCT,n数300人程度)
Meta-analysis: pioglitazone improves liver histology and fibrosis in patients with non-alcoholic steatohepatitis. - PubMed - NCBI
Aliment Pharmacol Ther. 2012 Jan;35(1):66-75.


個人的には、肝臓がんをアウトカムにした研究をやってほしいなぁなんて思ったり。
観察研究を探してみましょう。

こちらは例のJAMAのやつ
膀胱がんを調べるついでに各種がんリスクが載ってたはず…。
Pioglitazone Use and Risk of Bladder Cancer and Other Common Cancers in Persons With Diabetes. - PubMed - NCBI
JAMA. 2015 Jul 21;314(3):265-77.
こちら本文のtable6を見てみましょう。
prostate, female breast, lung/bronchus, endometrial, colon, non-Hodgkin lymphoma, pancreas, kidney/renal pelvis, rectum, and melanoma…
うぐぁ!
10種のがんリスクが検討されているのに、肝臓がんは入っていませんでした…。
無念…。


ではこちらですかねぇ。
Association of thiazolidinediones with liver cancer and colorectal cancer in type 2 diabetes mellitus. - PubMed - NCBI
Hepatology. 2012 May;55(5):1462-72.
ケースコントロール研究です。

アブストを流し読みすると…、
肝臓がん発生リスクは、ピオグリタゾンにより低下
OR:0.83(95%CI: 0.72-0.95)

な、なんと…。
これは期待していいのでしょうか…?

糖尿病治療薬としては、ピオグリタゾンはちょっとアレな感じですが、NAFLD/NASHには有効なのでしょうか?
このテーマはちょっと追いかけてみたいと思います!
(3日も経てば、ケロッと忘れてしまいそうですが…)



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