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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

がん性疼痛にケタミンは有効?

Randomized, double-blind, placebo-controlled study to assess the efficacy and toxicity of subcutaneous ketamine in the management of cancer pain. - PubMed - NCBI
J Clin Oncol. 2012 Oct 10;30(29):3611-7.
背景:麻酔薬のケタミンThe anesthetic ketamine はがん性疼痛に広く用いられているがエビデンスは弱い。
目的:コントロール不良のがん性疼痛の管理として、オピオイドや標準アジュバント療法に組み合わせてケタミンを使用した場合、プラセボと比べて有効かどうかを検討

研究デザイン:multisite, dose-escalation, double-blind, randomized, placebo-controlled phase III trial、The primary analysis was an intention-to-treat analysis(厳密にはFAS;Full Analysis Setかも?)
P:オピオイドと補助鎮痛薬(※)を使ってもBrief Pain Inventory (BPI)3以上の入院患者(18歳以上)
E:ケタミン 皮下注射 100, 300, or 500 mg
C:プラセボ(normal saline) 皮下注射
O:clinically relevant improvement(定義:defined as a reduction in BPI average pain score by ≥ 2 points from baseline in the absence of more than four breakthrough doses of analgesia over the previous 24 hours 4回をこえるレスキュー無しで、ベースラインからBPI2以上の減少)
資金提供:オーストラリア政府(研究上の役割は無し)
CONFLICTS OF INTEREST:なし
試験期間:5日間

http://jco.ascopubs.org/content/30/29/3611/T4.expansion.html

Brief Pain Inventory(BPI):がんの痛みで用いられる。痛みや気分など。10段階評価
痛みを4段階に分け、「痛みなし」、「少し痛い(1~4)」、「やや痛い(5~7)」、「ひどく痛い(8~10)」


<除外基準>
6ヶ月以内の鎮痛薬としてのケタミン投与
2週間以内の痛み部位への放射線治療
その他、試験期間中に痛みに影響を与える治療
など

<介入方法>
http://jco.ascopubs.org/content/30/29/3611/F2.expansion.html

オピオイドの用量や鎮痛補助薬の投与については、ベースラインのまま。変更は許可されない。
試験期間中にオピオイドの増量は不可だがレスキューは許可。
オピオイド毒性や痛み軽減によるオピオイド減量は可


<サンプルサイズ>
検出力85%、α0.05、反応率25%の差(プラセボ30%、実薬55%の見積もり)
→サンプルサイズ150名

<結果>
http://jco.ascopubs.org/content/30/29/3611/F4.expansion.html

ポジティブなアウトカム
NNT=25 (95% CI, six to ∞)

ネガティブなアウトカム
NNH= 6(95% CI, 4 to 13)


<感想>
自分は終末期の方と接することが皆無なのですが、来局される患者さんのご家族が終末期で…とお話を伺ったりすることもあります。先日、ケタミンを試すことになった、なんて話も…。
ケタミンについて調べてみると、2014年のガイドラインでは、オピオイドケタミン上乗せは、オピオイド単独より痛みを緩和する可能性があるとして、「2B 弱い推奨、低いエビデンスレベル」
今回の文献も引用されていますが、「推奨しない」というわけではないようです。NNT/NNHのバランスはいまいちな印象ですが、やはり苦しんでいる患者さんにとっての選択肢は多いほうが良いという気はします。試してみる価値はあるのかも。

がん性疼痛で苦しみながら最期を迎える方もいらっしゃるのが現状かと思います。
この領域はもっともっと研究が進んで終末期の患者さんの苦しみをとる手段が増えると良いですね。