pharmacist's record

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アジルサルタンvsアムロジピン!

Age-related difference in the sleep pressure-lowering effect between an angiotensin II receptor blocker and a calcium channel blocker in Asian hype... - PubMed - NCBI
Hypertension. 2015 Apr;65(4):729-35
(プロトコル Rationale, study design, and implementation of the ACS1 study: effect of azilsartan on circadian and sleep blood pressure as compared with amlodipine. - PubMed - NCBI)

研究デザイン:ランダム化オープンラベル並行群間試験
P:原発性高血圧(Ⅰ度~Ⅱ度 座位SBP140~179、DBP90~109)、20歳以上
E:アジルサルタン20mg/日
C:アムロジピン5mg/日
O:夜間SBP(ABPMで測定、washout後、治療終了後にABPM実施)
治療期間:8週間(ランダム化前に2週間のwashout period、1週間のrun-in periodあり。washout期間に被験者が服用していた降圧剤は中止)
資金提供:武田薬品

試験期間中の、他の降圧剤、狭心症治療薬、抗不整脈薬、ジギタリス製剤、カリウム剤製剤との併用禁止

<除外基準>(詳細はプロトコルのtable2)
Ⅲ度高血圧(SBP180/DBP110以上)、二次性高血圧、悪性高血圧(高血圧緊急症)
ABPM(ambulatory blood plessure monitoring 携帯型24時間血圧モニター)で測定した24時間平均SBP130/DBP80未満
24週以内の心血管疾患(MI、冠動脈血行再建術、脳梗塞脳出血TIA、高血圧性網膜症)、CKD
血管疾患、AF、薬物治療を必要とする狭心症/CHF/不整脈、症候性末梢動脈疾患など

<サンプルサイズ>
夜間SBPの平均血圧変化の群間差は-4.2mmHgと見積もり
各群の標準偏差は15.8mmHgと見積もり
power90%でアムロジピンに対するアジルサルタンの優位性を示すのに必要なサンプルサイズは各群299名
約15%が脱落することを見込んで、各群350名登録

<ベースライン特性>
BMI:60歳未満で26、60歳以上で24
睡眠時血圧パターン:Dipper(40~50%)>Non-dipper(30~38%)>Extreme-dipper(10~17%)>Riser(7~10%)
降圧剤服用歴:60歳未満は7割が服用歴なし、60歳以上は45%服用歴なし。服用していた降圧剤は主にARB/CCB
CKD合併:2~5%
DM合併:約2割


<結果>
fig1より、957名登録、導入期間(run-in period)に239名脱落→718名がランダム化、両群359名

[治療開始後の脱落]
アジルサルタン群:27名脱落(理由:有害事象9名、自主的な中断(voluntary withdrawn)6名、uncontrolled BP2名など)
アムロジピン群:23名脱落(理由:有害事象6名、自主的な中断10名など) 
(アジルサルタン群では血圧コントロール不良による脱落が2名)

[8週間治療後の血圧変化]

アジルサルタン(n=359) アムロジピン(n=359) アジルサルタンvsアムロジピン(95%CI)
Sleep SBP −12.6 −17.5 4.8(2.6 to 7.1)
Sleep DBP −7.1 −8.9 1.8(0.5 to 3.0)
Awake SBP −14.9 −17.6 2.7(0.6 to 4.8)
Awake DBP −8.6 −8.9 0.4(−0.8 to 1.6)
24-hour SBP −14.0 −17.5 3.5(1.6 to 5.4)
24-hour DBP −7.9 −8.9 0.9(−0.1 to 2.0)
Clinic SBP −17.0 −19.6 2.6(0.5 to 4.7)
Clinic DBP −10.6 −10.0 −0.7(−2.0 to 0.7)

 

<感想>
最強のARBという感じで売り出されたアジルサルタンですが、降圧効果においてアムロジピンに完敗という結果でした。この臨床試験は血圧変化という代用のアウトカムを検討した試験であり、必ずしもアジルサルタンよりアムロジピンのほうが優れているというわけではないですが、降圧効果だけで比較するならアムロジピンということですね。DBPはあまり差がないですがSBPで差が開いています。
この差はとくに60歳以上で顕著(table3)であり、60歳未満ではあまり差がないという結果(table4)。

Limitationとして、
①年齢別の解析はPower不足の可能性あり
②ABPMの再現性
が挙げられていますが、高齢者の血圧をきちんと下げたいというケースにおいては、アムロジピンのほうが効果が期待できそうです(繰り返しになりますが、“降圧効果においては”です!)。