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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

慢性副鼻腔炎の有効な治療法は?(2015メタアナリシス/JAMA)

耳鼻咽喉科 感染症 抗菌薬

副鼻腔炎は、風邪や鼻茸(nasal polyps)、アレルギー性鼻炎などが原因として起こるとされています。

急性細菌性副鼻腔炎(ABRS;acute bacterial rhinosinusitis)の臨床像についてはこちら
細菌性副鼻腔炎とウイルス性上気道炎の見分け方は? - pharmacist's record

今回は慢性副鼻腔炎の治療法についてのメタアナリシスについてとりあげてみたいと思います。

Medical Therapies for Adult Chronic Sinusitis: A Systematic Review. - PubMed - NCBI
JAMA. 2015 Sep 1;314(9):926-39.
背景:慢性副鼻腔炎は3ヶ月以上持続する副鼻腔の炎症を指し、受診する患者の1~2%を占めるコモンな疾患。慢性副鼻腔炎の適切な治療法はQOLの向上させ急性増悪を防ぐために必要とされる。
研究デザイン:RCTのメタアナリシス
対象:慢性副鼻腔炎の成人(Adult Chronic Sinusitis)

<結果>
29の試験が選定基準を満たした
内訳は12メタアナリシス(60以上のRCTs)、13システマテックレビュー、4RCT(どのメタアナリシスにも含まれていないRCT)

【生理食塩水による鼻洗浄Saline irrigation】
症状スコア改善 SMD1.42[95%CI 1.01 to 1.84](正のSMDは改善を示す)

【局所ステロイドtopical corticosteroid】
全体的な症状スコア改善 SMD -0.46[95%CI -0.65 to -0.27](負のSMDは改善を示す)
鼻ポリープ(鼻茸)スコア改善 SMD -0.73[95%CI -1.0 to -0.46](負のSMDは改善を示す)
術後ポリープの再発リスク減少 relative risk0.59[95%CI 0.45 to 0.79]

【全身ステロイドSystemic corticosteroids、経口ドキシサイクリン(both for 3 weeks) 】
プラセボと比較して、ポリープのサイズを減少(P < .001).

【ロイコトリエン拮抗薬】注)鼻ポリープがある場合
プラセボと比較して、鼻症状を改善(P < .01)

マクロライド(for 3 months)】注)鼻ポリープが無い場合
プラセボと比較して、QOL改善 SMD -0.43[95%CI -0.82 to -0.05]


<結論>
慢性副鼻腔炎の第一選択として、①毎日の生理食塩水による鼻洗浄 ②局所ステロイド療法 を推奨

鼻ポリープがある場合、
全身ステロイド療法(1~3週)、ドキシサイクリン(3週)、ロイコトリエン拮抗薬を考慮

鼻ポリープが無い場合、
マクロライド長期療法(3ヶ月)を考慮


<感想>
慢性副鼻腔炎といえばマクロライドのイメージでしたが、鼻ポリープがない場合のみの推奨となっているようです。
慢性副鼻腔炎は「長期的な粘膜の障害により起こる副鼻腔の清浄能力の低下であり感染症は二次的(レジテントのための感染症診療マニュアル)」ということで、生食による洗浄が有効という結果なのかもしれません。
アブストラクトのみで詳細情報が不足しているため、ぜひフルテキストを読んでみたいレビューですね。