pharmacist's record

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線維筋痛症にはどの薬が有効?

Comparative efficacy and tolerability of duloxetine, pregabalin, and milnacipran for the treatment of fibromyalgia: a Bayesian network meta-analysi... - PubMed - NCBI
Rheumatol Int. 2016 Mar 21
研究デザイン:RCTのネットワークメタアナリシス
P:線維筋痛症の患者
E:デュロキセチン60mg、プレガバリン300mg、プレガバリン150mg、ミルナシプラン200mg、ミルナシプラン100mg
C:プラセボ
O:有効性と忍容性(アブストにはプライマリとしての明確な記載なし)

<結果>
9RCT(n=5140)が選定基準に適合

疼痛30%以上改善 OR(95%CrI) SUCRA
デュロキセチン60mg OR2.33(1.50-3.67) 0.9431
プレガバリン300mg OR1.68(1.25-2.28) 0.6300
プレガバリン150mg NA 0.2392
ミルナシプラン100mg OR1.62(1.16-2.25) 0.5680
ミルナシプラン200mg OR1.61(1.15-2.24) 0.5617
プラセボ refferance 0.0580

SUCRA(surface under the cumulative ranking curve):ランク付けの指標
100%ならどの薬剤よりも完全に優れている、0%なら完全に劣っている。

結論は"there was no significant difference in the efficacy and tolerability between the medications at the recommended doses."


ネットワークメタアナリシスということで充分な吟味が必要なのだと思いますがアブストから結果だけ抽出。
デュロキセチン強いですね。関連記事(線維筋痛症にはプレガバリン/デュロキセチン単独より併用が良い? - pharmacist's record)においても、プレガバリンより優勢だった印象でした。
(大規模な直接比較試験でも行わないと確定的なことはいえないかもしれませんが)

脱線しますがデュロキセチンは慢性腰痛にも適応が通りました
H28.3.18付で厚労省より注意喚起も出ており、腰痛に対しては適応患者を慎重に吟味する必要があります。
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160322I0020.pdf
・最新の診断基準を参考に慢性腰痛症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮
・疼痛に対して投与する場合は、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性等の精神症状の発現リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断
・慢性腰痛症に伴う疼痛に対する本剤による治療は対症療法であることから、漫然と投与しないこと。
適正使用情報の周知方法は以下のとおり
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