読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

みなさん、定時で帰りましょう!

循環器 疫学研究

Dose-Response Relation Between Work Hours and Cardiovascular Disease Risk: Findings From the Panel Study of Income Dynamics. - PubMed - NCBI
J Occup Environ Med. 2016 Mar;58(3):221-6
目的:米国の労働者における労働時間と心血管疾患(CVD)の関連性を検討
研究デザイン:the Panel Study of Income Dynamics※に登録された(10年以上)1926名の労働者を対象としたレトロスペクティブコホート研究

※Panel Study of Income Dynamics(PSID):ミシガン大学が実施している収入動態に関するパネル調査

<結果>
週当たり平均46時間以上の労働は、CVDリスク増加と関連あり。
週あたり45時間労働と比較して、プラス週当たり10時間以上の追加勤務で、少なくとも10年間で16%以上のCVDリスク増加


こちらはランセット
Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,8... - PubMed - NCBI
Lancet. 2015 Oct 31;386(10005):1739-46
背景:長時間労働は心血管疾患のリスクを高める可能性があるが、プロスペクティブなエビデンスに乏しく、主に冠動脈疾患(CHD;coronary heart disease)に限られている。
研究デザイン:プロスペクティブコホート研究のメタアナリシス
暴露:長時間労働
アウトカム:CHD/脳卒中リスク

検索ワード「(“work hours”, “working hours”, “overtime work”) and (“coronary heart disease”, “ischemic heart disease”, “acute myocardial infarction”, “angina pectoris”, “chest pain”, “stroke”, “cerebrovascular”, “cerebrovascular disease」

評価者バイアス:2名の研究者が事前に定義された選択基準に基づいて独立してレビュー("two investigators (MKi and MV) independently reviewed~")

出版バイアス:言語は英語。未出版のデータも検索。funnel plotを用いて検討されている。

元論文バイアス:各コホート研究の質はthe Cochrane Risk of Bias Toolを用いて検討

<結果>
CHD:25のコホート研究が適合(n=603,838)、平均フォローアップ期間8.5年(5,100,000人年)、CHD4768例
脳卒中:17のコホート研究が適合(n=528,908)、平均フォローアップ期間7.2年(3,800,000人年)、脳卒中1722例

relative risk(95%CI)[55時間以上/週 vs 35-40時間/週] 異質性
CHD RR1·13(1·02-1·26; p=0·02) I2=0%
脳卒中 RR1·33(1·11-1·61; p=0·002) I2=0%

(年齢、性別、社会経済的地位を調整)

http://www.thelancet.com/cms/attachment/2040710516/2054406710/gr4.gif
fig4を見ると、脳卒中のほうが労働時間依存的にリスクが増加している印象。

ディスカッションにてこのメタアナリシスの限界として、
・未発表データの大部分がthe IPD-Work Consortiumのデータに基づいており、availability bias(データの入手バイアス)の可能性あり
・労働時間は自己申告に基づいており、労働時間の誤分類により調査結果が過小評価されている可能性があり、更なる研究が必要とされる
などが挙げられている。


<感想>
ランセットによると、どちらかというと心疾患より脳血管障害への影響が強いのかもしれません。
無理は禁物、休養大事ですね。
こういう文献を会社の偉い人たちに見せてみましょうか笑

負担を減らして、余裕のある状況をつくることが大事ではないかと思うのですが、まあ…いろいろありますよね。
報告とか報告とか会議とか会議とか…。
もっとはやくから手をつければいいものを、期限ギリギリになって現場に振ってきたりして、ああ今日も帰れないみたいな…。
こうして、論文を読む時間が減っていくわけですが、自分より忙しいであろう先生方が論文をたくさん読んでらっしゃったりするので、自分も寝言こいてないで頑張らなくてはいけないですね。