pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

新規抗てんかん薬の催奇形性

社内勉強会でちょっと話題になったので文献検索してみました。
The teratogenicity of the newer antiepileptic drugs - an update. - PubMed - NCBI
Acta Neurol Scand. 2014 Oct;130(4):234-8
新規抗てんかん薬(ラモトリギン、トピラマート、レベチラセタム)の催奇形性リスクについて評価
P:妊娠第1三半期(first trimester)のてんかん患者
E:抗てんかん薬投与あり(n=1572)
C:抗てんかん薬投与なし(n=153)
O:催奇形性リスク

※第1三半期:妊娠初期、13週6日まで

<催奇形性率>
無治療:3.3%
ラモトリギン単剤:4.6%
レベチラセタム単剤:2.4%
トピラマート単剤:2.4%



日本神経学会の「てんかん治療ガイドライン2010」では2010年発売開始のレベチラセタムについての記述はなく、2016年時点ではどのようなマネージメントが推奨されているのでしょう?

もう少し文献を探してみます。
Levetiracetam in pregnancy: results from the UK and Ireland epilepsy and pregnancy registers. - PubMed - NCBI
Neurology. 2013 Jan 22;80(4):400-5
レベチラセタム単剤はリスクが低いと示唆する報告もあるようです。
(さらに詳細はこちら→http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3854744/
もっとデータが集まれば推奨度が高くなるのかもしれませんね。

ちなみに国内においては、レベチラセタム(イーケプラ®)は、2016年3月時点で、部分発作に対しては単剤療法が認められていますが、強直間代発作に対しては併用療法という保険適応となっています。
部分発作にも併用オンリーだった頃は、レベチラセタムと他剤を処方してこっそりレベチラセタムだけ飲むようにと指示していたなんて話もネット上で目にしたことがありますが実際のところどうだったのでしょう…。


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4110845/
Ther Adv Drug Saf. 2012 Apr; 3(2): 71–87.
こちらは2012年のレビュー
参考になりそうですが、今回は読まずにスルー(時間があるときに読もうかな…)


てんかん治療ガイドライン2010では、
・専門医のカウンセリングの下、計画妊娠が勧められる
・抗てんかん薬は必要最小限とし、できるかぎり単剤療法(併用のほうが催奇形性リスクが高い)
バルプロ酸はなるべく避ける。必須症例では徐放剤、1000mg/日以下が望ましい
・非妊娠時から葉酸の補充0.4mg/日(→欧米ではもっと高用量だそうです)

"てんかんと妊娠"
てんかん研究 Vol. 32 (2014-2015) No. 1 p. 43-46
こちらも参考になるかと思います。


新規抗てんかん薬が絶対的に推奨されるのかどうかは今のところはっきりしてないようですが、データが少ないながらもリスクは高くなさそうな印象です。レベチラセタムなどの新規抗てんかん薬も発売され、治療の選択肢が増えたのは良いことですね。
さまざまなデータがあって混乱してしまいますが、妊娠希望の患者さんがどの薬を用いるか(もしくは中断するか)については、患者さんの病態を一番良く把握してらっしゃる主治医とご相談いただくのが良いと思います。