pharmacist's record

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受動喫煙の影響(脳卒中、虚血性心疾患、COPD)

Meta-analysis of the association between second-hand smoke exposure and ischaemic heart diseases, COPD and stroke. - PubMed - NCBI
BMC Public Health. 2015 Dec 1;15:1202 (全文フリー)
受動喫煙(SHS;Second-hand smoke)の影響を検討
研究デザイン:観察研究(コホート研究、ケースコントロール研究)のメタアナリシス
アウトカム:虚血性心疾患(IHD;Ischaemic heart disease)、脳卒中COPD

言語制限:英語、ドイツ語
出版バイアス:funnel plotによる評価を行っている

<結果>

虚血性心疾患IHD(14study)
男性/女性(6study) RR1.27(95%CI 1.10-1.48) I2=30.78%
男性(6study) RR1.06(0.96–1.19) I2=0%
女性(9study) RR1.50(1.31–1.72) I2=16.0%

Fig2のforrest plotを見る限り、女性においても、統計的有意差が出なかった研究結果が半数近くある(有意差がないものはn数が少ない傾向にはある)。
一方、男性はほとんどの研究において有意差がない。RR1.01(0.86–1.18)のMcElduff et al.(1998)が症例数が多く、5割近いweightとなっている)

COPD(5study)
男性/女性 RR1.66(1.38–2.00) I2=0.0%
男性(1studyのみ) RR1.50(0.96–2.28)
女性 RR2.17(1.48–3.18) I2=22.95%

男性のデータはMcGhee et al.2005のみ。ギリギリ統計的有意ではないが、リスク上昇傾向。
女性はすべての研究において有意にリスク上昇

脳卒中(7study)
男性/女性(5study) RR1.35(1.22-1.50) I2=2.08%
男性(4study) RR1.40(1.09–1.81) I2=37.95%
女性(6study) RR1.43(1.28–1.61) I2=0%

女性はほとんどの研究において有意にリスク上昇。
男性はやや異質性があり各研究において有意差があったのは1つのみ。


<感想>
受動喫煙による動脈硬化やCOPDのリスクは男性より女性のほうが強い傾向にあります。
虚血性心疾患は意外と影響が少ないなと思いました。
ただ、このような研究は、受動喫煙の程度の基準など、いろいろと評価が難しいのではないかなという気もしますね。各研究において細かい基準がどうなっているのか、メタアナリシスでデータを統合する上で問題はないのか?と。

じっくり吟味する時間もないので、forrest plotにて各試験の結果を斜め読みして終了。
気になる方は原著をご確認くださいm(__)m