pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

口の中が苦いんだけど薬の影響?

「薬」というと、どのようなイメージが浮かぶでしょうか。

「病気を治す」「お値段が高い」「副作用が怖い」
などなどさまざまな印象があると思いますが、「薬は苦い」という印象も強いのではないでしょうか。「良薬は口に苦し」という言葉もあるくらいですから。

では、薬剤師に苦い薬といえば?とアンケートをとったら何が上位にくるでしょう。
自分はゾピクロンに一票いれます。

ゾピクロン錠の粉砕調剤を行ったことがあるのですが、錠剤をすりつぶすときにわずかに舞い上がる粉末を吸い込んで、強烈な苦みに悶え苦しんだ覚えがあります(笑)。
この薬、錠剤を噛み砕いたりせず、きちんと水で飲みこんでも、翌朝に口の中が苦くなったりすることもあります。これは薬が吸収されて血液中に入り、苦みの強い成分の一部が唾液に分泌されるためです。
添付文書を見ると、副作用報告の頻度No1が「苦み」です(488件/11677例、頻度4.18%)。
ゾピクロンの光学活性体であるエスゾピクロンも苦みがありますが、ゾピクロンよりは軽減されているようです(直接比較したデータがあるかどうかは未確認)。


小児用散剤で味が悪いと有名なのはクラリスロマイシンなどのマクロライド系抗生剤でしょうか。苦みをコーティングして工夫されているのですが、お子様には不人気のようです。コーティングが溶けて口の中に苦みが広がらないよう、口の中に残さずに飲み込むことが大事かと思います。

このクラリスロマイシンは錠剤においても副作用として、味覚異常(苦み等)0.1%未満と記載あり
メーカーさんによると、服用当日もしくは1~2日以内に発現するケースが多いようです。ゾピクロンのように唾液に苦み成分が分泌されるという機序が考えられますが、唾液中に何%排泄されるのかを検討したデータはないとのことでした。


他には目薬においても報告されています。
有名なのはレバミピド点眼液でしょうか。目と口は涙嚢と鼻を通じて繋がっているため、成分の味を感じることがあります。添付文書によると、苦味105例/670例(15.7%)と高頻度。
メーカーさんの患者向けリーフレットには、点眼直後~数時間後に苦みを感じることがあると記載(「ムコスタ点眼液UD2%を正しくご使用いただくために」より)
使用回数1日4回ですから、人によっては1日中苦みが気になってしまうこともあるかもしれません。
鼻や口へ薬液が流れないように点眼後、1~5分程度、目を閉じて(何度もまばたきしたりしない)、目頭を指でおさえておくと良いと言われています。

スマトリプタン点鼻液は、添付文書によると苦み10例/489例(2%)、咽頭の刺激感13例/489例(2.7%)。患者向け指導せんにも記載されており、使用後の苦みは有効成分によるもので品質に影響がないこと、水を飲むと苦みが軽減されること(当たり前ですが笑)が記載されています。

苦みの被疑薬がわからないときは、この資料を参照すると良いと思います。
http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm1104003.pdf
医療従事者向けの副作用疾患別対応マニュアル「味覚障害」
この中に、添付文書に口腔内苦味の記載がある薬剤の一覧が記載されています(最新の医薬品は一覧から漏れている可能性あり)

味覚障害(味が薄い、味を感じない、苦みを感じる、味が濃く感じるなど)には薬剤性以外にもさまざまな原因があります
亜鉛欠乏症
・舌炎(舌カンジダ症、VB12欠乏によるHunter舌炎、鉄欠乏によるPlummer-Vinson症候群など)
・シェーグレン症候群
うつ病
など多数ありますので、これらの疾患の鑑別も必要です。


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