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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

甲状腺機能亢進症で食欲が低下することもある?

Differences in the signs and symptoms of hyperthyroidism in older and younger patients. - PubMed - NCBI
J Am Geriatr Soc. 1996 Jan;44(1):50-3.
高齢者と若年者の甲状腺機能亢進症の症状の違いについて調べた前向きコホート研究

comparison
34名の甲状腺機能亢進症の高齢者(70歳以上、平均年齢80.2歳)
50名の甲状腺機能亢進症の若年者(50歳以下、平均年齢37.4歳)

control
68名の甲状腺機能正常の高齢者

<結果>
高齢者において、頻脈(tachycardia)、倦怠感(fatigue)、体重減少(weight loss)の3徴候は50%以上で認められた。

症状の頻度の違い

若年者>高齢者 反射亢進(hyperactive reflexes)、発汗増加(increased sweating)、熱不耐症(heat intolerance)、振戦(tremor)、神経過敏(nervousness)、多飲(polydipsia)、食欲亢進(increased appetite)
高齢者>若年者 食欲不振anorexia(32%vs4%)、心房細動atrial fibrillation(35%vs2%)


臨床症状の数(種類):若年者10.8>高齢者6(若年のほうが症状が多様)


高齢者における甲状腺機能亢進症vs正常者

無気力apathy OR14.8
頻脈tachycardia OR11.2
体重減少weight loss OR8.7


年齢によって、甲状腺機能亢進症の臨床像が異なっているのがわかります。
たしかに、発汗増加や食欲亢進などの症状は高齢者より若年者で起こりやすいようなイメージがありますね。

甲状腺機能亢進症といえば食欲亢進が有名です。
若年者においては、食欲亢進の程度が強いと、体重が増加することもあります(通常、甲状腺機能亢進症では体重が減少する)。

その一方で、高齢者においては、食欲不振が見られるケースもしばしばあるようです(若年者においても4%は食欲不振が認められています)。

学生向けのテスト問題であれば、甲状腺機能亢進症→食欲亢進で正解がもらえるかもしれませんが、実臨床では思わぬピットフォールに陥ってしまうかもしれないので注意が必要です。