配属異動により、久しく抗がん剤に触れてないので、復習を兼ねてヒヤッとした経験をご紹介します(数値などのデータは改変)。
ゼローダ(カペシタビン)300mg 14錠 2×朝夕食後 14日分
イメンドカプセル(アプレピタント)80mg 1カプセル 1×朝食後 2日分
患者さんの身長・体重は、165cm・55kg。
体表面積(BSA)を計算すると1.6㎡(Du Bois式)←ネットで算出できます。
ゼローダは乳がん、胃がん、大腸がんなどに適応がありますが、この患者さんは大腸がんのようでした。
ゼローダのDIの一部を抜粋
B法:結腸癌における術後補助化学療法
C法:治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌(他の抗悪性腫瘍剤と併用)
用法はともに1日2回朝夕食後 2投1休
<用量>
体表面積ごとに異なる
B法
1.33m2未満 | 1,500mg |
1.33m2以上1.57m2未満 | 1,800mg |
1.57m2以上1.81m2未満 | 2,100mg |
1.81m2以上 | 2,400mg |
C法
体表面積 | 1回用量 |
1.36m2未満 | 1,200mg |
1.36m2以上1.66m2未満 | 1,500mg |
1.66m2以上1.96m2未満 | 1,800mg |
1.96m2以上 | 2,100mg |
以下、適正使用ガイドから抜粋
ゼローダ単剤療法には1,250 mg/㎡/回(1日2回)、
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法には1,000 mg/㎡/回(1日2回)
症例に戻って、用法用量をチェック。
BSA1.6㎡、ゼローダ1回投与量が2100mg。
ふむ、B法だな…なんてスルーしてはいけません。
抗がん剤による吐気を抑えるイメンドが処方されているということは、オキサリプラチンなどのプラチナ製剤の点滴を併用していると考えられます。
念のため問い合わせたところ、推測したとおり、この患者さんはXELOX療法でオキサリプラチンを併用しており、本来C法で計算すべきところ、誤まってB法(ゼローダ単独療法)の用量で計算されており、処方変更となりました。
ちなみにイメンドは初日投与量は125mgですが、125mgカプセルはすでに服用済み。80mgカプセル2日分は翌日、翌々日の分でした。
がん患者さんの場合、院外薬局ではあまり話したがらない方もいて、レジメン(院内でどんな治療をしたのか、抗がん剤の点滴はしているのか)まで確認できないことも多いです。ご家族が来局して、薬をもらいにきただけで詳細はわからないなんてこともあります。
点滴の副作用防止の薬が処方されていることで、レジメンが予測できて、用量ミスを未然に防げましたが、イメンドの処方がなかったらと思うとゾッとします。
抗がん剤を処方する場合はレジメンを記載して頂けると助かります。ミスを未然に防ぎ、患者さんに確実な医療を提供するためには、院内と院外の連携が大事だと思っています。最近では、お薬手帳にレジメンが記載されているケースも見受けられ、とても嬉しく思いました。
ところで最近はゼローダはよく使われているのでしょうか。最近、抗がん剤の処方を受け付けていないので日に日に疎くなっています。オンコロジーは情報のアップデートが速くて、あっという間に追いつけなくなってしまうので、勉強しなくてはいけませんね。