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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

鵞口瘡(がこうそう) 口腔カンジダ症 

鵞口瘡(がこうそう)

Candida albicansの感染により起こる口腔カンジダ症。

Candida albicans:健常人でも15~20%に検出される常在菌。悪性腫瘍、血液疾患、免疫不全、糖尿病などの基礎疾患を有する、もしくは乳幼児、老人、妊婦などの抵抗力が弱い人の場合、口腔カンジダ症を発症することあり。

以下、主に乳児に発症する口腔カンジダ症についてとりあげます。

<感染源>

母親の乳首、哺乳瓶などよく口の中に入れるもの

抗生剤長期使用で口腔内常在菌のバランスが崩れ、菌交代現象として発生することもある。

 

<症状>

口腔(頬の内側や舌、歯茎など)に白苔(白いカス)がつく。通常、痛みはなく無症状だが、哺乳障害をきたすことあり。

ミルクのカスはこすれば取れるが、鵞口瘡はこすってもとれない。


<治療>

ピオクタニン(保険適用外)、ミコナゾールゲルなどの塗布

母乳育児で母親にカンジダがあれば抗真菌外用薬で治療、哺乳瓶の使用があれば熱湯消毒指導

※薬物治療は不要だという意見もある

 


ミコナゾール・ゲル(フロリードゲル経口用2%)
経口用だが、適応外使用として口腔塗布で用いられる。口腔内に長時間保持されにくい水性製剤(粘性少)と違って、ゲル剤は口腔粘膜に長時間保持されやすい(舌上に塗布した場合、6時間程度、充分量のミコナゾールが残存したというデータあり)。

口腔カンジダ症に対しては成人で適応が通っているが、小児・乳幼児に対しては使用経験が少なく、安全性未確立と添付文書に記載されている(外国で6カ月未満の乳児で誤嚥による窒息の症例あり)

下記文献に、乳児への使用の報告あり。

 

『小児科臨床 48:373,1995』

〈対象〉

口腔カンジダ症と診断された乳幼児28例 

男児16例、女児12例
年齢0ヶ月~2歳(1歳未満が24例、6ヶ月未満が21例)、体重2.2~12kg
髄膜炎、肺炎、敗血症など基礎疾患を有する症例が16例

〈治療〉

ミコナゾールゲル1日1本を3分割し、1日3回口腔内に塗布、原則3日間治療

〈結果〉

口腔内の観察所見の変化と真菌培養結果を併せて評価(著効、有効、やや有効、無効の4段階)

著効:22例、有効:6例

白苔→全例消失

発赤(28例中11例に症状あり)→全例消失

粘膜肥厚(28例中3例に症状あり)→全例消失

 

 

 比較対照試験ではないので有効性の評価は難しいですが、口腔カンジダ症が風邪のように自然治癒するものではないとすれば充分な効果を発揮していると思います。どの程度、自然治癒が期待できるのかが気になるところです(経過観察を支持する意見もある)。

 自分が気になっていた乳児への安全性についてですが、症例数28例(乳児が24例)と小規模でありながら乳児にも問題なく使用できています。3日間程度の短期使用であれば誤嚥に注意すれば使用可能ではないでしょうか。小児疾患の薬物治療の書籍でも紹介されているフロリードゲルですが、あいかわらず添付文書は小児への安全性未確立、そして、口腔への塗布で使用されるケースが多いにも関わらず、いまだに適応は内服のみ…。

 個別指導では添付文書と異なる使用は徹底的に追求され、疑義照会をしていない場合は調剤料の返還となりますが、添付文書自体が現場の医療とかけ離れているケースが散見されるのをどうにかして欲しいものです。