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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

加齢に伴い必要な睡眠時間は減る?

新しい睡眠薬スボレキサントの登場により薬物療法の選択肢が増えましたが、不眠に悩んでいる人は多いと思います。
2009年の調査では20人に1人が睡眠薬を服用していることがわかりました。

不眠症入眠障害中途覚醒早朝覚醒、熟眠困難などに分類され、日中の眠気、集中力低下などのQOL低下がある場合に治療対象となります。

薬物療法以外の生活上の注意事項についてまとめてみます。

不眠症の患者さんへの生活指導や注意事項
・朝食をとる(規則正しい食生活)
・就寝4時間前からカフェイン(日本茶、コーヒー、紅茶、コーラ、チョコレートなど)を控える
・寝酒は控える。アルコールにより寝つきが良くなるが、深い眠りが減ったり、徐々に効果が弱まり中途覚醒してしまう。
(※参考;睡眠薬とアルコールの併用は原則禁忌。コップ1杯のビールの代謝に約2時間とされるがより長い時間を要する可能性があるため晩酌後には睡眠薬を服用しないのが原則。)
・就寝前の喫煙はさける(就寝前1時間程度)。
・起床後に日光を浴びる(ご高齢の場合は、体内時計が変化し睡眠時間がはやくズレこみやすく、早朝覚醒が問題となる場合は、日光を浴びる時間を遅らせて夜の就寝時間を遅くしたほうが。日光を浴びてから体内時計がリセットされ、15~16時間後に眠くなる)
・適度な運動
・夜更かしせず体内時計のリズムを保つ(とくに若年世代)
・眠くなってから寝床に入り、起床時間は一定に。
・寝付けない場合は無理せず離床する
・寝床で過ごす時間を短くする
・昼寝をする場合は、昼~15時くらいまでに、15~30分程度とする。
・年齢により必要な睡眠時間は異なる
・日中の眠気、倦怠感、集中力低下に注意(日中の眠気などの問題がなく元気で快適であれば充分睡眠がとれているとも言える)

充分に眠っているのに、日中の眠気がひどい場合は、SASの可能性もあるので要注意です。
睡眠をとっているのに、日中眠い? 睡眠時無呼吸症候群 - pharmacist's record


Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human... - PubMed - NCBI
Sleep. 2004 Nov 1;27(7):1255-73.(http://www.ihfglobal.com/education_documents/REMSleep.pdf)
figure2参照 年齢別睡眠時間(中途覚醒時間WASOや睡眠潜時sleep latencyは除く。睡眠潜時:就床時刻から睡眠開始までの時刻)

年齢 睡眠時間
5~10歳 8.5時間
15歳 8時間
25歳 7.5時間
50歳 6.5時間
75歳 6時間

とくに中途覚醒時間が中高年より増加。睡眠潜時はやや微増。

加齢に伴い、寝付けないのに寝床に入っているが長くなっています。
必要とされる睡眠時間は減少しますが、睡眠を充分にとろうというギャップが、不眠の訴えに繋がってしまうようにもとれます。

よくある訴えとして、「布団の中で考え事をしているうちに朝になる」というケースもあります。
日中眠気や集中力低下などの問題がなければ睡眠時間が足りているかもしれません。
どの程度眠れているのかはっきりさせるには、“はっきりと起きている”ときの時計を確認しておくのも一考です。

自分は眠くなるまでは寝床に入らないので、夜中の2~3時くらいまで起きていることも多いですが、不眠症だと感じたことは不思議と一度もありません。
ごくまれに眠りたいのに寝つきが悪い日があり、そのようなときは寝床でたまに時計を確認して、最後の記憶を頼りに、起床したときに何時間くらい眠れたか逆算したりすることもあります。

日中眠気や集中力低下があれば要注意ですが、無理に睡眠をきちんととらないといけないと気にしないほうがよいと思います。
そして、なんらかの理由があって眠れないのであれば、その原因をきちんと解消することが大事です。

参考
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン