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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

痛風発作を起こしたことのない高尿酸血症は治療したほうがいい? オススメの食事は?

内分泌 食事療法

痛風を起こしたことのない高尿酸血症は全例薬物治療が必要でしょうか。また、尿酸値がいくつになったら治療開始するべきでしょうか。ガイドラインや文献を調べてみました。

<無症候性高尿酸血症

高尿酸血症の定義は7.0mg/dL以上

生活習慣改善指導を行っても尿酸値9.0mg/dL以上の場合、薬物療法を考慮。

腎疾患、高血圧、尿路結石の合併がある場合は、8.0mg/dL以上で薬物療法を考慮。6mg/dLを目標とする。


Asymptomatic hyperuricemia. Risks and consequences in the Normative Aging Study. - PubMed - NCBI
Am J Med. 1987 Mar 2046名の健康な男性を14.9年追跡したコホート研究

血清尿酸値 痛風発作の年間発生率
9.0mg/dL以上 4.9%(5年間の累積発生率は22%)
7.0~8.9mg/dL 0.5%
7.0mg/dL未満 0.1%

高血圧だと発生率が約3倍。その他のリスク因子としてBMIコレステロール値、アルコール摂取など。

ガイドラインのとおり、9mg/dLを超えると痛風リスクが高くなっているという結果です。薬物治療介入の是非についてはコンセンサスが得られていない部分もあり、本邦ガイドラインでも適応基準は、絶対的適応というニュアンスではなく考慮するという表現になっています。
やはりまずは生活習慣の改善が望まれます。

高尿酸血症の運動療法>
過度な運動、無酸素運動は血清尿酸値上昇をきたすため不可。週3回程度の軽い運動が望ましいとされる。体重は適正体重BMI<25を目指し、肥満改善。

高尿酸血症の食事療法>
プリン体について:1日400mg程度までとされる。プリン体だけでなくカロリー制限も重要。ショ糖・果糖は控えて、乳製品を摂るとよい。

飲酒:アルコールはプリン体の有無に関わらず代謝に関連して尿酸値上昇。
最低限の目安はビール500ml、ウイスキー60ml、日本酒1合

Risk factors for gout and prevention: a systematic review of the literature. - PubMed - NCBI
Curr Opin Rheumatol. 2011 Mar 観察研究のメタ解析
table3(アルコール)

アルコール 痛風リスク比
ビール12オンス(約350mL)/日 1.49 [95%CI 1.32–1.70]
Hard liquor(ウイスキーなど)ワンショット/日 1.15 [95%CI 1.04–1.28]
ワイン4オンス(約120mL)/日 1.04 [95%CI 0.88–1.22]

table4(飲食物)

フルクトース(果糖)や砂糖入りの清涼飲料水 飲料量依存的に尿酸値上昇や痛風リスク上昇
コーヒー 尿酸値低下・痛風リスク軽減
乳製品 痛風リスク軽減(とくに低脂肪の乳製品。高脂肪乳製品は有意差無し)
食物繊維 痛風リスク軽減
葉酸 痛風リスク軽減
ビタミンC 痛風リスク軽減

介入研究ではなく、すべて観察研究なので、あくまで参考程度となります。
ワイン、コップ1杯程度なら痛風リスクは増えないようですが、ビールは350ml程度でもリスクが上昇しています。ガイドラインでは500mL程度まで許容となっていますが、毎日の摂取は避けたほうが良いです。
食物繊維やビタミンをとるのであれば、果物ではなく野菜中心としたほうが良さそうです(果糖による尿酸上昇が示唆されているため)

ただ、生活習慣病の食事制限は厳しくしすぎると、栄養が偏ってしまったり、精神的にも辛いのではないかと思います。ビールが大好きな人にとって、一生飲まないというのは酷です。精神的ストレスにならない程度に配慮すれば良いのではないかと思うのですが、生活習慣病の食事療法となると、全然守らない人と、厳しく守りすぎる人と極端な気がします。無理のない程度に、継続的に制限を行うことが大事なのではないかと思います。
(★ただしワーファリン服用者の納豆禁止といった食事制限は絶対に守らなくてはいけません。“ほどほど”でも不可です。疾患ごとに制限の度合いが異なるのでご注意ください)


参考
高尿酸血症痛風治療ガイドライン