糖尿病はさまざまな合併症をきたします。有名な3大合併症は、「神経障害」「網膜症(眼)」「腎症」で、頭文字をとって「しめじ」と覚えると忘れません。発症の順番もこの「しめじ」の順番で起こるとされています。
糖尿病性神経障害について取り上げてみたいと思います。
糖尿病性神経障害
感覚運動神経障害:遠位性・対称性で主に足先から症状が現れる。しびれ感、冷感、感覚鈍麻、錯感覚(足の裏と床の間に1枚紙が挟まっている感じがするなど)
自立神経障害:起立性低血圧、発汗異常、胃不全麻痺、便通異常(便秘、下痢)、勃起障害、無自覚低血糖
<リスク因子>
- 血糖コントロール不良
- 糖尿病罹病期間
- 高血圧
- 脂質異常
- 喫煙
- 飲酒
1型糖尿病を対象とした米国のスタディDCCTでは、強化療法(
HbA1c約7%)、従来療法(約9%)で、神経障害発症率は5% vs 13%。相対リスク60%減。
血糖コントロールが糖尿病性神経障害の発症・悪化を抑えることを示唆している。
The Ipswich Touch Test: a simple and novel method to screen patient... - PubMed - NCBI
Diabet Med. 2014 Sep
こちらは非医療従事者でも簡単にできる糖尿病性神経障害のスクリーニング方法を検証した論文です。
The Ipswich Touch Test:目を閉じた状態で、被験者の両足の第一趾、第三趾、第五趾のつま先を、人差し指で軽く触れて、6本中2本以上、触知できなければ陽性
How to perform the Touch the Toes test - YouTube
↑動画で見たほうがわかりやすいです。
331名の患者に試験を行い、同じ部位への10gモノフィラメントによる検査と比較したところ、感度78.3%、特異度93.9%、LR+12.9、LR-0.23
ご家族に検査してもらうこともできるので、糖尿病の患者さんにこういった簡便な検出方法を説明し、定期的に自己チェックしてもらうことで、病識の向上も期待できると思います。