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pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。

インフルエンザ治療薬の効果

 インフルエンザの患者さんが増えてきたということもあり、2014年4月に発表されたコクランレビューを読んでみたいと思います。

Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in h... - PubMed - NCBI

 オセルタミビル(商品名タミフル)とザナミビル(商品名リレンザ)の治療効果について記載されています。

〈オセルタビミル〉

治療効果(症状短縮時間)

  • 成人:-16.8時間(95% CI -8.4 to -25.1 hours, P < 0.0001). 7日⇒6.3日へ
  • 持病のない小児:-29時間(95% CI -12 to -47 hours, P = 0.001). 
  • 喘息のある小児:有意差なし

合併症リスク

  • 肺炎:非確定的診断においては成人にてリスク減少あり(NNT100)、X線診断で確定された肺炎については有意差なし
  • 中耳炎、気管支炎、副鼻腔炎など有意な減少なし

入院リスク:成人・小児ともに有意な差はみられなかった。

副作用:吐き気(NNH28)や嘔吐(NNH22)が増加。

〈ザナミビル〉

治療効果(症状短縮時間)

  • 成人:-0.6日(95% CI -0.39 to -0.81 days, P < 0.00001), 6.6日⇒6日へ
  • 小児:有意差なし(-1.08日 95% Cl -2.32 to 0.15)統計学有意差はないが短縮する傾向にはある模様

入院リスク:データ不足

合併症リスク:気管支炎は小児では有意差無しだが、成人でリスク減少(NNT56)。その他、中耳炎、副鼻腔炎のリスク差はなし。

副作用:吐き気、嘔吐のリスク増加はみられなかった

 

 コクランレビューを見ていると抗インフルエンザ薬の必要性が軽視されかねませんが、一方、米国CDCは以下のような見解を示しています。

CDC Recommendations for Influenza Antiviral Medications Remain Unchanged | Spotlights (Flu) | CDC

 重症患者が含まれる観察研究では、入院や死亡リスク低減を示唆されているとし、ハイリスク患者に対する早期抗ウイルス薬投与を推奨。

 CDCがハイリスク患者とするのは以下のとおり

  • 乳幼児(とくに2歳未満)
  • 高齢者65歳以上
  • 妊婦、産後2週間以内
  • 合併症のある患者:喘息、COPD心不全、腎不全、肝不全、免疫抑制状態(HIV、薬剤による免疫抑制など)、てんかん、極度の肥満など

  

 というわけで、健常者に抗インフルエンザ薬を投与すべきかどうかはまだまだコンセンサスが得られていないように思います。

 今年の正月は夜間休日診療所がインフル疑い患者で大混雑だったようです。おそらく病院で特効薬をもらえばすぐに治る、薬をもらわないと治らないという認識の患者さんも多いのではないかと思います。基本的には自然軽快する病気ですが、たとえば受験生で一刻も早く病気を治したいのであれば、受診すべきだと思いますし、患者さん個々の状況によるのではないかと思います。

 自宅療養するのも良いと思いますが、もし、インフルエンザが疑われる症状が出て、病院に行かずに療養しようという場合、インフルエンザの解熱薬として推奨されているのは、アセトアミノフェンですので、市販薬を使用する場合は留意する必要があります。

 

最後に漢方薬についての論文です。

A randomized, controlled trial comparing traditional herbal medicin... - PubMed - NCBI

麻黄湯(n=10)、オセルタミビル(n = 8)、ザナミビル(n =10)の3群を比較、すべて成人患者。盲検化はされていない。

総症状スコアに有意差なし

発熱期間の中央値は、麻黄湯29時間、オセルタミビル46時間、ザナミビル27時間。

 症例数が少ないので、エビデンスとしては十分とはいえないかと思いますが、ノイラミニダーゼ阻害薬の耐性化なども考慮すると、漢方の有効性もきちんと研究していく余地があると思います。