pharmacist's record

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小児へのテオフィリン製剤の投与について

 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012を反映し、2012年12月にテオフィリン製剤の添付文書が改訂になりました。

 

・患児の状態(発熱、痙攣等)等を十分に観察するなど適用を慎重に検討し投与すること
・2歳未満の熱性痙攣やてんかんなどのけいれん性疾患のある児には原則として推奨されないこと。テオフィリンは乳幼児(5歳以下)では痙攣閾値を下げる可能性が否定できないので慎重な投与が求められる)
・保護者等に対し、発熱時の対応をあらかじめ指導しておくこと
発熱時には、一時減量あるいは中止できるように、ドライシロップの調剤時(の薬剤と配合しないことが望ましい)の注意を記載

 

投与量も更新されています。

6ヶ月未満:原則使用しない

6ヶ月~1歳未満:1回3mg/kg(通常1日2回)

1歳~15歳未満:1回4~5mg/kg(通常1日2回)

 

〈発熱時の注意〉

 発熱時にはテオフィリンのクリアランスが低下し血中濃度が上昇することがあり、痙攣などの副作用に留意する必要あり

2歳6ヶ月男児の症例:体温36.5℃⇒38℃でクリアランスが約半分に低下、血中濃度が5.2⇒8.2μg/mLに上昇。クリアランスは解熱後3日程度で回復。

 血中濃度が20μg/mL以上となると副作用発現のリスクがあるため、目標血中濃度を5~15μg/mL(2歳未満は5~10μg/mL)にコントロール。

 使用中の発熱出現時には一時減量(2分の1)あるいは中止するかどうかを事前に保護者に指導しておくことが望ましい。

 

〈相互作用〉

 市販の風邪薬にもカフェインなどキサンチン製剤が含まれているものがあるので一般用医薬品やドリンク剤にも注意。肝薬物代謝酵素の阻害によりテオフィリンクリアランスを低下させる薬剤との併用も注意が必要。

 

 インフルエンザの流行により高熱をきたすケースが多くなってくると思いますので、テオフィリンRTC療法を行っている患児には発熱時の対応について処方医と相談し、事前に説明しておく必要があると思います。

(※RTC療法:薬剤の血中濃度を24時間一定に保つ投与法。内服後、徐々に溶けて吸収される徐放性テオフィリン薬(気管支拡張薬)を使って、血中濃度の変動を少なくし、気管支拡張効果の維持をはかる。 )

 

参考資料:エーザイ医療用医薬品 Drug Information