pharmacist's record

日々の業務の向上のため、薬や病気について学んだことを記録します。細心の注意を払っていますが、古い情報が混ざっていたり、記載内容に誤りがある、論文の批判的吟味が不十分であるといった至らない点があるかもしれません。提供する情報に関しましては、一切の責任を負うことができませんので、予めご了承ください。また、無断転載はご遠慮ください。

相互作用

エプレレノンのCYP3A4のCR(寄与率)

ちょっと気になったので…。セララの添付文書 16.7相互作用 「エプレレノン100mg及びケトコナゾール(経口剤は国内未承認)200mg(1日2回)を併用投与した時、エプレレノンのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ1.7倍及び5.4倍増加した」「医療現場における薬物相互作用…

DOACとP-gp阻害薬[ベラパミル/ジルチアゼム]の併用→出血リスクは?

ph-minimal.hatenablog.com 以前、DOACの相互作用に関するネタを取り上げました。 これについてはなにがなにやらサッパリわけがわからん結果となっていましたが、個人的にちょっと気になっていたベラパミルとの併用について調べた観察研究の論文を循環器科領…

薬の飲み合わせ 第7回「片頭痛の薬をもらいにきた患者さん」 地域医療ジャーナル2018年7月号 vol.4 「わかりあうほう」

cmj.publishers.fm7月号でました。私の連載は、飲み合わせシリーズ第7回です。 この記事のイントロを書いたのは1ヶ月以上前なのですが、7月を目前にして30度越えの猛暑到来を予言していたかのごとく夏フェスとかお盆について書いてますね。 あ、べつに梅雨が…

NOACの出血リスクは相互作用が懸念される他剤との併用により上昇する?

Association Between Use of Non-Vitamin K Oral Anticoagulants With and Without Concurrent Medications and Risk of Major Bleeding in Nonvalvular Atri... - PubMed - NCBI JAMA. 2017 Oct 3;318(13):1250-1259.PMID:28973247目的:NVAFに対するNOAC…

炭酸リチウムとNSAIDs/RAS阻害薬

炭酸リチウムの相互作用についてです。あまり馴染みのない薬(いや、というかほとんど知らない)でして…、筆者より詳しい先生が世の中に溢れかえっていることと思いますが、まあ適当に文献漁ってみましょう。まずは添付文書を見ると、併用注意はありますが、…

LVFXとNSAIDsの併用によるけいれんリスク

キノロンとNSAIDsの併用はけいれんリスクが懸念されています。 キノロンの中枢神経におけるGABA受容体阻害作用が増強されるらしいのですが、実際どの程度リスクが高まるのでしょうか。キノロンの代表ということでLVFX(levofloxacin)をとりあげます。 先発メ…

スタチンと横紋筋融解症

前回に引き続き、スタチンについてもう少し調べてみます。スタチンといえば横紋筋融解症rhabdomyolysisが有名ですね。重篤副作用マニュアル(重篤副作用疾患別対応マニュアル|医薬品医療機器情報提供ホームページ)によると、 骨格筋の細胞が融解、壊死するこ…

経口糖尿病治療薬についてのレビュー/メトホルミンと腎機能/インクレチンと膵炎/ブロモクリプチンとDM/レパグリニドとクロピドグレル

ちょっと古いですが、糖尿病治療薬についてのレビューをピックアップ。Management of type-2 diabetes mellitus in adults: focus on individualizing non-insulin therapies. - PubMed - NCBI P T. 2012 Dec;37(12):687-96.table1 HbA1c減少 禁忌Contraindi…

“併用注意”はスルーしていい??

お薬手帳が浸透してきて、服用歴がチェックできるようになってきました。 急に風邪で病院に飛び込んでも、お薬手帳があれば飲み合わせのチェックが可能となります。では、何を元にチェックをしているのかというと原則、医薬品の添付文書になると思います。 “…

甲状腺ホルモン補充療法 レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)の変服

通常、甲状腺機能低下症に用いられるレボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)は毎日一定の量を服用することが多いですが、用量調節のために曜日によって服用量を変える処方例がありました。甲状腺についてまとめてみたいと思います。甲状腺 場所:首の前方…

乳がんのタイプ別治療法

乳がんについて 検診方法:視触診と、マンモグラフィー(乳房専用のレントゲン)もしくはエコー。一般に40歳以上ではマンモグラフィー、40歳未満ではエコー。 乳がんの症状:乳房のしこり(通常、無痛性)・えくぼのような窪み・皮膚の色の変化・腫れ、リン…

ワーファリンと抗菌薬の相互作用について

ワーファリンは相互作用が多い薬として注意が必要な薬です。添付文書をみると、ありとあらゆる抗菌薬が併用注意となっています。抗菌薬による腸内細菌の減少によるビタミンK低下が主な機序と思われます。 ワーファリンと抗菌薬併用による出血リスク等を研究…

貧血と鉄剤について

貧血について復習。貧血治療剤クエン酸第一鉄について添付文書やメーカーさんの資料より抜粋。 〈貧血〉 男性ではヘモグロビン色素濃度Hb13g/dL、女性はHb12g/dL、妊婦・高齢者はHb11g/dLがおおよその判定基準。 貧血の原因は鉄欠乏以外にもさまざまな要因が…

ネフローゼと脂質異常症

ネフローゼ症候群の症例を一部アレンジしてお示しします プレドニゾロン5mg シルニジピン10mg トラセミド8mg ロスバスタチン5mg カンデサルタン8mg ジピリダモール150mg シクロスポリン50mg(処方追加) ネフローゼ症候群でステロイドに抵抗性…